風をもって冬に鳴る。

『以風鳴冬』

風をもって冬に鳴る。


この作品は四季の中の「冬」の部分。

鳥をもって春に鳴り、
雷をもって夏に鳴り、
虫をもって秋に鳴り、
風をもって冬に鳴る。
(韓愈「送孟東野序」より)

中国・唐時代の文人、韓愈の言葉です。


天は四時万物から己の音を尤もよく出す物を選んで楽器の如く鳴らす。

韓愈は人もまた然りと言います。すべて平静を得ざれば鳴る(聞こえてくる)ということで、四季に合わせた言葉。

一方で、たとえば日本を代表する古典「枕草子」の四季の段ではそれぞれの季節を趣深い“時間”という視点で表現しています。

中国の韓愈が“音”で四季を表現していたのは興味深い。

 

さらに「送孟東野序」ではこのように続きます。
『人の精神も、その人の体をして鳴らしめる。鳴るとは即ち言葉によってである』

言葉をもって人は鳴る。
言葉は、人の「音」なのかもしれません。

 

少し前に書いたブログを思い出しました。

対話の中で言わないと決めている2つの言葉。

 

季節は、冬至までもう2週間ほど。

寒さが一層深まります。

 

小杉 卓

 

こんな記事も書いています

残酷なことだけど、下手になるスピードは上達するスピードよりもはるかに速い。

「草書や行書が楷書よりも上手い」という誤解について。