書を観るうえで、大切なポイント。

 

顔真卿展が盛り上がっていますね。

鑑賞した方の感想をTwitterで拝見したり、あるいは直接感想を伺ったりするのもまた、展示会の楽しみの一つです。

 

先日、ある友人から聞いた感想が、書を考えるうえでとても大切なポイントだと感じたのでみなさんにも紹介させてください。

 

 

その友人は「今まで見た書の中で一番印象に残ってるのが蘇軾の『黄州寒食詩巻』」だそうです。

『黄州寒食詩巻』は北宋時代の詩人・蘇軾が書いた作品で、行書の名筆です。

ちなみに、彼は書の公募展に出展したり書を専門でやっているわけではありません。にもかかわらず、蘇軾の『黄州寒食詩巻』を知っている時点で相当の知識量があると思います。すごい。

 

こちらがその『黄州寒食詩巻』。

蘇軾『黄州寒食詩巻』(台北 國立故宮博物院蔵)

 

そんな友人が、今回の『顔真卿~王羲之を超えた名筆~』を鑑賞。

 

今回の顔真卿展を観て、「それ(蘇軾)と王羲之の書の間に今回の顔真卿『祭姪文稿』があるとするとすごく腑に落ちる気がした」と言っていて、すごく大切なポイントだと感じました。

書は、作家と作品そのものの魅力だけではなく、歴史上の前後の書をつなげていくことでの変化・深化ポイントに大きな意義があると思っています。

王羲之⇒顔真卿⇒蘇軾も、書の歴史の中でしっかりつながっています。歴史上の誰かが欠けていたら、その次の時代の書は生まれなかったでしょう。

 

前の時代の表現から何を受け取り、次の時代にどんな影響を与えたのか。

そんな視点で書の作品・作家をみていくと、表現の流れがよりよく理解できるのではないでしょうか。

 

 

今回の顔真卿展は企画上、顔真卿と祭姪文稿がフォーカスされますが、展示全体で「書の変遷史」をとても分かりやすく展示・解説してくれた良企画展だと思います。

 

ということで、 ぜみ観に行ってみてください。

今週末2月24日(日)まで開催です。

【顔真卿-王羲之を超えた名筆-に行ってきた】鑑賞レポート

 

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