『良いアート』は良いコミュニケーションを生む

『良いアート』は良いコミュニケーションを生む

 

「アートとは何か」という問いへの一つの答えは、そこにコミュニケーションがあることだと考えています。

鑑賞者がその作品に何を観ているか。あるいは、表現者がその作品に何を表現しているのかといえば、究極は『自己』ではないでしょうか。

表現者の『自己』の押しつけでも、鑑賞者からの『評価』でもなく、 作者と鑑賞者とがその作品を通して感じたことを咀嚼し、考え、伝え、省みる。

作品を通した対話。
自己との対話。

そんなコミュニケーションこそが、『アート』という文化なのではないかと思うのです。

 

パリの美術館やコンサートホールでは、このコミュニケーションが活発に行われている様子を目にする機会がたくさんありました。

パリの美術館に通ううちに、絵画の他にみえてきたもの。その文化に生命力はあるか。

 

『良いアートとは何か』

 

ですから、「良いアートとは何か」と考えると、そこに質の高いコミュニケーションが生まれている作品がそれにあたります。

古典を学ぶ意味もそこにあって、古典の作品の作者はもちろんのことながら、その作品に触れてきた多くの人とのコミュニケーションを可能にしてくれる作品が、古典です。

 

一方で、現代に生まれているアートにももちろん大きなコミュニケーションを生んでいる作品はたくさんあります。それは古典のように時間をかけてできる深みとは違う種類の、瞬間風速的にヨコに広がりのあるコミュニケーションだと思っています。

どちらの軸も大切。

深い思考に導いてくれるものや高い高揚感を与えてくれるもの。
あるいは広い景色を見せてくれるもの。

その作品が古典であっても、現代アートであっても、

より良いアートは、より良いコミュニケーションを可能にしてくれます。

 

私の創作活動も、『対話』がその作品の大きな軸になります。

レッスンをする時間も、依頼された作品を書く時間も、クライアントの『想い』にこそ作品の価値があり、その想いを伝えてもらい、咀嚼し、作品に投影するのが私の大切な仕事なのだと思っています。