フィルハーモニー・ド・パリのプラトー(舞台上の席)で聴くショパン

昨夜はピアノのコンサートを聴きにフィルハーモニー・ド・パリへ。

ピアニストは、今ロシアで最も注目されているというダニール・トリフォノフ。まさかの僕と同い年。奇跡的にプラトー(ステージ上の席)のチケットが手に入ったので、ピアニストの息づかいまで感じられました。

 

 

息づかい、というのはスポーツは当然のことながら、音楽・書道でもとても大切なポイント。書道で大きな文字を書くときはスポーツさながらに体を使います。一筆のストロークでどのように呼吸をするか、というのは音楽の旋律での息づかいによく似たものがあります。

 

 

プログラムは『ショパン』がテーマ。

前半はシューマンやラフマニノフなどが作曲したショパンへのオマージュや変奏曲。ショパンだけど(たとえば)ラフマニノフ、というのが旋律やリズムでよくわかる。作曲家の個性というものはこうした曲でこそよりはっきり聴こえてくるのかもしれません。

 

後半はショパンのピアノソナタ第2番。

特に3楽章の『葬送』の旋律が大変に有名な曲。ショパンの葬儀のとき、棺がパリの街を運ばれるときにもこの曲が奏でられたといいます。ピアニストのダイナミックな体の使い方にもかかわらず、鍵盤に触れるタッチはどこまでも優しく柔らかい響きでした。

 

フィルハーモニー・ド・パリには、普段はパリ管弦楽団の演奏会を聴きに来るのですが、奏者が演奏しているステージでピアノの音を聴けた贅沢、客席で聴くのとは全然違う響き方でした。

普段彼らはこの音を聴きながら演奏しているのかと、羨ましくもあった。それにしてもいいホールだ。

 

 

大ホールは2,400席。

しかし、客席一階の一番後ろの席からも奏者までの距離が近い。その代わり『縦に長い』ホールです。そのデザインにはいっさいの直線がなく、まるでホールに雲が浮いているような設計。音響には日本の音響会社、永田音響設計もかかわっているといいます。

 

たった一台のピアノの音であっても、
ホールの隅々に「ああ響いてるな」と感じさせる、見事な造りです。