行きついたのは、楽器のフォルムの美しさでした。

行きついたのは、楽器のフォルムの美しさでした。

サックス奏者の猪俣さんに、彼女の活動のテーマである「七変化」を書かせていただきました。

 

 

イメージは「クラシックモダン」。

筆線は強く・重厚な古典風。しかしながら全体をデフォルメし、サックスのフォルムを表現しました。

額は、太い黒縁のガラストップ。最近はアクリルの額が多くなっているけれど、彼女の演奏には重厚なガラスが合うと感じました。

 

今年の春、今までの演奏活動の様子を見せていただいたり、これからの活動やビジョンを伺いました。

依頼内容は「七変化」という3文字、そして「モノトーン」の配色という2つのみ。

「それ以外はお任せします」というもの。

 

正直、難しいなと思いました。とても。

 

3文字、というのは一行で書いても二行で書いてもなかなかバランスが取れない。

複数の色を使う、という考えも封じられました。

 

ただ、彼女が取り組んでいる音楽として、

クラシック音楽からジャズやポップスをヒントに、作品も古典的な要素をベースに、現代にあっても古くない(ある意味「書道」っぽくない)要素を織り交ぜるということは決まっていた。
サックスの楽器をイメージして思い切ってデフォルメしたら、すっきりまとまりました。

 

猪俣さんの活動はサックスの演奏にとどまらず、カラーリストやスタイリストのセミナー・勉強もされています。

音楽家の在り方をいろいろな角度からプロデュースする熱意に圧倒されます。

その活動を応援する一つの作品として、この書を飾っていただければ嬉しいです。