音楽と書道は似ている要素がたくさんあると思っている。

音楽と書道、全く違った分野の芸術でありながら、
通じ合うところがたくさんある。

僕はショパンやラフマニノフをピアノで弾くのが大好きです。
オーケストラではオーボエを吹きます。
いい演奏ができたときはとても気持ちが良いです。

音楽というと、僕はクラシックを聴いたり演奏したりすることが多いのですが、
クラシック音楽の表現するところは楽譜に記された音符を、
忠実にかつ自由に演奏するところにあるのではないかと思う。

曲が成り立ちうる要素はもちろん楽譜の音符や記号だけではないでしょう。
そこに込められた作曲者の思いを無視した演奏なんてできないし、
その思いには作曲当時の時代背景が少なからず反映されているし、
あるいは、彼は大恋愛の真っただ中にあったかもしれません。

そういったたくさんの要素に、
今度は演奏する私たちの技術や感情が影響していくわけですね。
音色や細かい指回しなどのテクニックは言うまでもなく、
そのときの精神状態も大きく演奏に影響します。

音楽をつくりあげていくって、
何百年という時を越えながら、
楽譜を通して音色の中に様々な「思い」を響かせ合うような、
共同作業なんですよね。

書道でいえば、
先人の残した古典を手本として書く臨書はまさしくそういった
共同作業なんじゃないかな。

もっと大きなテーマで考えるならば、
「書道」というのは、
今まで継承されてきたものを学び、
同時に新しいものを生み出していくこと。

その2つの作業がうまく響き合ったときに、
そこに「書道」という1つの概念が成り立つのではないでしょうか。