東日本大震災のあの日から半年たった今、書家として思うこと。

 

22日夜~26日朝の日程で東北を訪れた。
ITボランティアとして東北を訪れるのは今回で3度目。
ボランティアとして活動しながらも、
東北の方々や仲間たちから本当に多くの事を学ばせていただいている。
この貴重な縁を、絆として深くしていけたらと思う。

以前ボランティアとして活動させていただいた地域の一つ、
岩手県大槌町の臼澤地区には400年もの昔から「鹿子踊」が伝えられている。
笛・太鼓や掛け声に合わせて、
鹿に扮した方々が、舞う。
小さな子供たちから大人の方々まで総勢50名程の老若男女が参加する鹿子踊。
24日と25日は大槌のお祭りということもあり、
幸運にも実際に鹿子踊を見せていただくことができた。

気迫あふれる「鹿」を一心に舞う大人たち。
たどたどしさを残しながらも精一杯に身体を動かす子どもたち。
笛の音色、太鼓の鼓動、力のこもった掛け声…
そのすべてがとけあった空間には、
時間という概念を超越した「生」があった。
その美しさと気高さに、涙が出た。

「伝統」といっても、
それを後世に伝えていくには積極的な姿勢が不可欠だと思う。
過去から何を学び、いま、それを未来につなげていく。

書道もそう。
先人の書には本当にたくさんのエッセンスがある。
日本の伝統文化としての書道を体現しようとするなら、
過去を学ばずして「伝統」は語れない。
未来への挑戦と同時に、
もっともっと勉強しなければならないことがあることを改めて感じた。