「豊」(2014年10月11日)
豊かさとは何だろう。
春先に植えた稲を刈りながら考えていた。
首を垂れる稲穂と向き合いながら。
レストランに行ってお金を払えばオーダー通りのものが出てきて、
お腹いっぱいに食べられる、、、。
土を作って、
種を植えて、
自然の中で育てて、
収穫して、、、
そんなプロセス全部すっとばして、
僕らのお腹に食べ物が入ってくる。
もちろん全てのプロセスに関わることは簡単なことではない。
それでも、自分たちの手で手に入れたものの尊さにこそ、
本当の豊かさがあるんじゃないか。
大好きな音楽についても考えていた。
スマホがあればボタン一つでいつでも好きな曲が聴ける。
いつでもどこでも簡単に音楽が聴けるようになった。
便利であるという意味では、豊かになったのかもしれない。
でも、「生」の音楽を聴く機会は、
極端に減ったんじゃないか。
単純に、どちらがいいと言い切れるものではないけれど、
その空気の中で奏でられる音楽を五感で感じられる「豊かさ」からは、
少しずつ遠のいてしまっているように思う。
目でみて、耳できいて、鼻で嗅いで、手で触って、、、
それができる環境に身を置いてみると、
そこは本当に「豊か」なのだなあと、心から思う。
その環境が、何年も何十年も何百年も昔から、
多くの人によって支えられてきたかと思うと、
それだけで頭が下がる。
いい場所、良いものには、いい人が集まってくる。
それが、「豊かさ」なのかもしれない。