「SORACHI 1984」に流れるテーマとは? インタビューから見えた「一以貫之」

この度、サッポロビール様の伝説のホップ「SORACHI 1984」をテーマにした書の作品を制作させていただきました。

単にビールを「書く」のではなく、その背景にある物語、携わる方々の想いを深く知ることから作品が生まれました。本記事では、作品に込めたテーマと、私にとって理想的だった制作の「レシピ」についてご紹介します。


「一以貫之」に込めた意味

今回の作品を象徴する言葉として選んだのは、四字熟語の「一以貫之(いちいかんし)」です。

これは「一つのことを根本として、最後まで貫き通す」という意味を持ちます。

作品を紡ぐにあたり、私はSORACHI 1984の生産に携わる方々、長年このビールを愛飲されている方々、そしてブランドに関わる多くの方々にインタビューをさせていただきました。

様々な角度から言葉を伺う中で、このビールが持つ魅力が、多面的かつ立体的に感じられました。ヒノキやレモングラスを思わせる凛とした香り爽快な味わいといったビールの特徴はもちろんのこと、その中心には、関わる人々の熱い想いが脈々と流れていることが見えたのです。

開発者、生産者、そして飲み手の皆さんが、それぞれが持つ「一つの信念」や「変わらない愛」をもって、このビールと向き合っている。その揺るぎない姿勢こそが、このビールの「とんでもない力」になっていると感じ、「一以貫之」という言葉で表現しました。


作品制作における理想的な「レシピ」

私は、料理にレシピがあるように、書の作品作りにも一つの「レシピ」があると捉えています。ただし、「筆を持って墨で書く」という工程は、そのレシピのほんの一部でしかありません。

今回の制作は、まさに私が考える理想的な作品作りのレシピとなりました。

【私の作品制作レシピ(一部抜粋)】

  1. インタビュー(言葉を伺う): ビールの背景にある物語、人々の情熱を吸収する。
  2. 咀嚼(言葉の真意を探る): 伺った言葉から、ビールの本質的なテーマを掘り下げる。
  3. 着想(言葉をかたちづくる): 掘り下げたテーマを、一枚の作品の「言葉」に凝縮する。
  4. 表現(筆を持って書く): 筆致や墨の色で、その言葉に命を吹き込む。

特に、関わる方々から直接言葉を伺うというプロセスは、作品の核となる「一以貫之」というテーマを見出す上で欠かせませんでした。一つの作品が完成するまでには、無数の細分化された工程がありますが、今回のように一つひとつの工程を丁寧に進め、SORACHI 1984という「場」に集まるエネルギーをそのまま作品に注ぎ込むことができたのは、私にとって大きな喜びです。


集まる人々のエネルギーこそが力

SORACHI 1984それ自体の魅力は言わずもがなです。しかし、その裏側にある、伝説のホップ「ソラチエース」に情熱を注ぐ生産者の方々、その個性を愛し続ける飲み手の皆さんのエネルギーが、このビールを特別な存在にしています。

このビールに関わるすべての人の想いが、まるで一本の太い幹のように繋がり、一本筋の通った作品になったと信じています。

この作品を通して、皆様にもう一度SORACHI 1984の「凛として、香り立つ」味わい、そしてその背景にある人々の物語を感じていただければ幸いです。

小杉 卓

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