KOSUGI TAKU

Japanese Calligrapher

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taku_kosugi

地元、栃木の「粟野アートフェスティバル」に参加させていただきます。

快晴の秋空の中で搬入作業。

大正8年築の蔵には、作品を梁にまとわせて展示。今までで一番長い作品です。

私の書の作品は、「鹿陽の森」にて、明日から11月23日まで展示していただきます。

◾️2025年11月8日(土)~23日(日)
◾️旧粟野中学校 ・粟野中学校 ・蔵のギャラリー・カラフルメリィ ・手打ちそば処 嵯峨 ・鹿陽の森
◾️花と芸術の街・あわの実行委員会/Mail:mail@awanoartfestival.com

#書道 #書 #アート #japanesecalligraphy #calligraphy #art #zen #アートのある暮らし #書道好きな人とつながりたい #アート好きな人と繋がりたい #栃木 #粟野 #粟野アートフェスティバル #鹿陽の森
17年前の夏、高校生だった私は、アー 17年前の夏、高校生だった私は、アートの島・直島での哲学キャンプに参加しました。

東京大学の哲学の先生、小林康夫先生から、そのときにいただいた言葉があります。

「生死を離れて、海 永遠。」

当時は難解に感じたこの言葉が、不思議と最近、心に浮かぶことが多くなりました。

社会の波、時代の変化、日々の小さな迷い。そんな中で、この言葉の持つ揺るぎない力が、私自身の羅針盤になってくれるような気がしています。

大学ノートの裏表紙にペンで書いてもらったこの言葉が、今もアトリエの本棚にそっと置いてあります。

#生死を離れて海永遠 #哲学 #書道 #現代アート #直島 #小林康夫先生 #高校時代の思い出 #人生の言葉 #心の羅針盤 #永遠とは #現代を生きる #アートのある暮らし
音楽と書を一つの舞台で表現するときに、変な言い方かもしれないが、「音楽と書」を表現しようとしているのではないかもしれない。

音楽と、それが対面しているものとのその間にある境界面のような、ゾーンのような、その空間にあるなにか、あるいはその空間そのものとして、言葉として近い表現を当てはめるならば「触媒」として書があるような気がしている。

そしてそれは音楽の視点からすれば、逆に、書とそれが対面するものの触媒としての音楽がある、と言ってもいいかもしれない。

When music and calligraphy (sho) are expressed on a single stage, and this might sound strange, I may not actually be trying to express "music and sho."

It feels as though sho exists as a "catalyst"—if that is the closest term to describe it—as something within, or perhaps even as, the space: the zone, the boundary surface that lies between the music and the entity it confronts.

Conversely, from the perspective of the music, it may also be said that music acts as a catalyst between the sho and that which it confronts.

©︎Hiroharu Takeda

#書道 #書道パフォーマンス #舞台 #calligraphy #art #japanesecalligraphy #performing_arts
「たちかわの第九」プロジェクトのロゴデザインを制作させていただきました。

特に「たちかわの」というひらがなは、書の表現としては大きなチャレンジでした。

ひらがなは一般的に親しみやすさや柔和さを想起させますが、ここではその中に、芯の通った「強い意志」を表現することを試みました。

筆を走らせる際に意識したのは、一画一画ごとに熱を帯びるような線にしていくことと、全体の印象として「大地にしっかりと根を張るような安定感」を帯びること、でした。

これは、プロジェクトに携わる一人ひとりが持つ「第九を通して地域を盛り上げたい」「人々の心を豊かにしたい」という情熱の表象です。ひらがなが本来持つ優美さと、その奥にある信念。この二つの要素を織り交ぜることを追求しました。

結果的に、ベートーヴェンの「歓喜の歌」の精神と、立川に息づく人々の息遣いをいかに有機的に融合させるかがデザインにおける最大のコンセプトになりました。

「たちかわの第九」が多くの人々に感動と共感をもたらすことを心より願っています。

#たちかわの第九 #ロゴデザイン #書道 #地域創生 #ベートーヴェン #デザイン哲学 #アートと地域 #japanesecalligraphy #calligraphy #art #zen #words #logo #書道 #書 #アート #アートのある暮らし #墨 #ロゴ
「座標のない、私たちの漂流する海。」

海を漂う、柔らかい孤独について。

この数年、私たちの世界から地図が消えた、という気がしています。かつては、誰もが信じていた頑丈な座標という名のテーブル。そこには「正しい生き方」や「揺るぎない未来」が書き込まれていましたが、ある朝目覚めると、テーブルごと、跡形もなく消え失せていたのです。

まるで深い霧の夜に、ふと目を離した隙に、飼っていた猫が姿を消すように。

作品に記した「座標のない、私たちの漂流する海。」は、消えたテーブルの代わりに眼前に広がった風景です。

この海は美しいけれど、どこまで行っても岸辺は見えない。私たち現代人は、誰もが皆、不確実性という名の潮目に身を任せ、一人用のヨットで漂流を続けている。

文字は揺れ、バランスは不安定です。それは、社会も、経済も、そして個人的なアイデンティティすらもが、固定された何かであることをやめ、常に変容し続けていることへの、静かな肯定です。

座標がないというのは、少し寂しいことかもしれない。けれども、裏返せば、誰からも行き先を指図されない自由を手に入れたということでもあります。

私たちは、過去の誰かの地図を破り捨て、自分自身の微かな呼吸の音だけを頼りに、新しい水平線へと向かうしかない。

もしあなたがこの言葉の前で立ち止まったなら、しばらく目を閉じてみてください。あなたの内側で鳴っている静かな音、つまり「生きたい」という微かな風音こそが、今は失われた最も確かな座標なのかもしれません。

私たちはまだ、漂流の途中です。

#書道 #書 #アート #japanesecalligraphy #calligraphy #art #zen #アートのある暮らし #書道好きな人とつながりたい #アート好きな人と繋がりたい #海 #oceans
TOKYO NODE LABにて「紙一枚の、世界でい TOKYO NODE LABにて「紙一枚の、世界でいちばん薄いイマーシブ体験」と題してワークショップを開催しました。

今回の試みは、最先端の都市空間で、筆と墨、そして和紙というシンプルな要素だけで、いかに深く内面と向き合えるかという問いかけ、試みでした。

自身の内なる言葉と向き合い、静けさの中で筆を走らせる。

都会の喧騒が遠のき、集中して墨をすり、呼吸を整える。

その時間は、日常の延長でありながら、そこには確かな輪郭がある穏やかな時間だったのではないかと思います。

文字通り「世界一薄い和紙」を用意し、まるで蜻蛉の羽のようなその薄さを味わっていただけて何よりです。

そして、カフェとコラボした抹茶もいいアクセントになりました🍵

#ワークショップ #shodo #calligraphy #書道ワークショップ #workshops #書のある暮らし #アートのある暮らし #tokyonodelab #墨
瀬戸内海は周防大島にて、書を取り入れたワークショップ。

プログラムの設計・実施にあたって心がけていたのは、答えを探すのではなく言葉を紡いでいくこと。そして現場の声を対話で深めること。

今自分の中にある言葉を書き出すだけではなく、一つの言葉を軸にして、新しい言葉の発想に繋げていくこと。ようやくこのフェーズを深めていける手応えがありました。

もちろん書(筆・墨)を活用するけど、決して道具に固執せずに、ペンも使う。自分の意思で言葉を紡ぐ時間をアレンジするのが大切。

最後に書かせてもらったこの日の書は、
「これが希望だ 〜可惜夜の星に願いを夢うつつ 葛藤という希望に生きる〜」

おまけの時間として、
翌朝5:30集合で、朝日を味わいながら書の時間をご一緒できたのが贅沢でした。

#ワークショップ #shodo #calligraphy #書道ワークショップ #workshops #書のある暮らし #アートのある暮らし #瀬戸内海
「ついに自由は彼らのものだ」 この 「ついに自由は彼らのものだ」

この作品は三好達治の詩『鴎(かもめ)』をモチーフにしたものです。

自らの眼で見、
自ら判断し、
自ら行動する。

本性のままの純粋な生き方というものを、
今日を生きる私たちはどれだけ体現できているでしょうか。

数字やお金に惑わされ、時間に追われ、
本当に大切なものに目が届かなくなっていることに、
繰り返される災害のその自然の力を前に、私たちは少しは気づけているでしょうか。

自由であるということは、
テレビや新聞で見聞きすることでも、辞書に書いてあることでも、
ましてや人から与えられることでもありません。

自分の足で立つように、もっともっと単純で、すっきりしたものだと思います。

This work draws its breath from The Seagull, a poem by Tatsuji Miyoshi.


To see with one’s own eyes.
To judge with one’s own heart.
To move forward by one’s own will.

How fully do we, living in this present day, embody such a pure and instinctive way of being?

We chase numbers, bend to the pull of money, run breathless through time—
and in doing so, how often do we lose sight of what truly matters?

When disaster strikes, and nature rises with a force beyond reason,
do we finally begin to notice—
what we’ve forgotten,
what we’ve abandoned?

Freedom is not something we hear on the news,
not a word written in a dictionary,
not a gift handed down from someone else.

It is simpler than that—
cleaner, quieter.
It is like standing, barefoot,
on the earth,
on one’s own.

#書 #書道 #音楽 #アート #舞台 #calligraphy #japapnesecalligraphy #art #performance #takukosugi #三好達治 #かもめ #鴎 #ついに自由は彼らのものだ #書のある暮らし #アートのある暮らし
この二日間はブルガリホテルでの、書。

多くの人がつくり上げる一つの「美」があって、そこに呼吸を合わせていく感覚と手応えがあった二日間。

とてもタフな仕事でしたが、いい緊張感の中で無事に書き上げることができた。

今夜はしばらくぼうっとしたい気持ちと、いやでもこういうときにいい言葉が出てきそうな気持ちと、静かな興奮が冷めやらぬ。

For two days, the Bulgari Hotel became a stage for calligraphy.

A single form of “beauty” was born there—woven together by many hands, many breaths. I found myself aligning with that rhythm, carried by the quiet assurance of being part of something larger than myself.

It was demanding, a task that stretched both body and mind. Yet within that taut stillness, the work emerged, whole and alive.

Now, as night settles in, I hover between two states: the desire to simply drift into silence, and the sense that, in moments like these, words—unexpected and luminous—are waiting to appear. The quiet exhilaration has yet to fade.

#japanesecalligraphy #calligraphy #art #zen #words #tokyo #journey #logo #書道 #書 #アート #アートのある暮らし #墨 #旅 #余白 #ロゴ #東京 #bvlgari
虎ノ門のTOKYO NODEで書のイベントを開催します。

コミュニティマネージャーの道久さんとお話しさせてもらったときに「最近のイマーシブにも色々あるけど、デジタルだけではなくてアナログでもできないか」という視点で盛り上がりました。

様々な機器を活用して没入体験を演出することも魅力的ですが、ちょっと立ち止まって、目の前に真っ白の紙を敷いて一本の筆を握ってみると、どうなるか。

没入装置は、新しいものだけではなくて、身近なものにも確かにあるんじゃないかと思います。

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【紙一枚のイマーシブ】
世界でいちばん薄い没入体験ワークショップ
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講師:小杉卓(書家)
日時:9月27日 (土) 15:00-16:30
参加費:1,500円(抹茶ドリンク付)
定員:10名/事前予約制
会場:TOKYO NODE LAB(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー8F)
申込・詳細:https://tnl-kosugi-ws.peatix.com/view

#ワークショップ #shodo #calligraphy #書道ワークショップ #workshops #書のある暮らし #アートのある暮らし #tokyonode
生産に携わる方や、
普段から飲まれている方、
SORACHI 1984に関わる方にインタビューして、今年の作品を紡ぎました。

様々な言葉を伺うことで、このビールがより立体的に感じられて、その中心に脈々と流れるテーマのような、そんな言葉を「一以貫之」として現しました。

料理にレシピがあるように、
書の作品作りにもレシピがあるとすれば、「筆を持って書く」という工程はレシピのほんの一部でしかないと思っています。

インタビューのように、いろいろな言葉を伺うことや、その言葉を咀嚼して、作品としての言葉をかたちづくることなど、細分化すれば長い長いレシピになりますが、一つひとつの工程を丁寧に進めていくことができた今回の制作は、「こうやって作品作りをしたい」の一つの理想的なレシピでした。

SORACHI 1984それ自体の魅力はもちろん、集まる方々のエネルギーが、そのままこのビールのとんでもない力になっていると感じます。

#sorachi1984 #beer #calligraphy #japapnesecalligraphy #art #ソラチ1984 #ソラチエース #クラフトビール #書道
#サッポロビール #書 #パフォーマンス #アート #舞台
先日の札幌公演「BOLERO 〜書×ヴァイオリン×ピアノ〜」の動画が公開されました。

BOLERO 〜書×ヴァイオリン×ピアノ〜
https://youtu.be/Q8aY1HASCl8?si=-W2JjMOLGynEJ0uy

書は一般的には静止した作品と思われがちですが、筆を運ぶ身体の動きには「時間」が流れています。

その時間性があるからこそ、音楽と呼応し、ひとつの表現として立ち上がる。

今回、石垣さんは、書と音楽が共に響く空間をイメージして多くの音楽を作ってくださいました。

ホールで聴く音楽として、
あるいは美術館で鑑賞する絵画として、
そんな気持ちでご覧いただけたら嬉しいです。

プログラムのねらいなどをブログに書きました。
https://ukyo-kosugi.jp/blog/4439/

#言葉と音楽 #書道 #書道パフォーマンス #札幌 #scartsコート #舞台 #calligraphy #art #japanesecalligraphy #performing_arts #sapporo
京都のホテル
「& zen. 」
「& haku. 」
のロゴを書かせていただきました。

しなやかな筆の軌跡として「&」を。
そして、読みやすさを保ちつつ、渇筆をしっかり出してテキストの立体感を。

旅にささやかな彩りを添えることができれば嬉しいです。

#japanesecalligraphy #calligraphy #art #zen #words #kyoto #kyototrip #journey #logo #書道 #書 #アート #アートのある暮らし #夏 #墨 #旅 #余白 #ロゴ #京都
「あすの音 静かな旅」 The Sound of Tomor 「あすの音 静かな旅」
The Sound of Tomorrow, a Quiet Journey

まだ言葉にならない音に、そっと耳を澄ませる。

それは遠くの空気を震わせて、朝のまえぶれのようにやってくる。

明日に向かう、静かな旅。
行き先はない。地図もない。ただ、まだ見ぬ輪郭に触れようとする。

音のような、気配のような、誰かの夢のなかで聴いたことがあるような、曖昧なものたち。

書くという行為は、あしたの余白を歩く旅。

読めなくとも、たしかにそこにある。

この線の中に、まだ語られていない、未来の呼吸が宿っている気がする。

I listen closely to a sound not yet born into words.

It stirs the air from far away, arriving like a whisper before dawn.

A quiet journey, heading toward tomorrow.
No destination. No map.

Only the desire to touch a shape not yet seen.

Like a sound, like a presence̶
something once heard in someone’s dream, vague and trembling.

To write is to walk the blank spaces of tomorrow.

Even if unreadable, it surely exists.
Within this line,

I feel the breath of a future not yet spoken.

#japanesecalligraphy #calligraphy #art #zen #words #tomorrow #journey #書道 #書 #アート #アートのある暮らし #夏 #墨 #明日 #旅 #余白
言葉にすることは、世界を輪郭づける行為です。

名前を与えることで、曖昧だった感覚や思いが形を持ち、誰かと共有され、やがて記憶になる。けれど、すべてを言葉に変換してしまったら、何か大切なものを取りこぼしてしまう気がするときがあります。

たとえば、胸の奥でかすかに揺れている違和感。夕暮れの空に浮かんだまま、言葉になりきらずにいる願い。そうした「未満のことば」には、確かに輪郭がないけれど、確かに存在しています。

書道は、言葉を扱いながら、同時に言葉にならないものにも触れる表現だと思います。まるで、言葉が生まれるその手前の気配を、そっとすくい取るように。

私たちは、ときに黙り、ときに祈るように書き、ときに余白を見つめる。

言葉になることと同じくらい、言葉にならないことも大切だと感じます。

#書道 #書 #アート #japanesecalligraphy #calligraphy #art #summerday #zen #アートのある暮らし #夏
書くことは、聴くこと
──「空と海」をめぐる静かな対話

先日、日本ファシリテーター協会の分科会として、書のワークショップを実施する機会をいただきました。

タイトルは「書くことは、聴くこと」。参加者は、普段から人の言葉に耳を傾け、場の空気を紡ぎ出すことを生業としているファシリテーターの方々。

参加者の皆さんは、ファシリテーターとして言葉の扱いに長けている方ばかりということで、今回は、あえてその言葉の輪郭をぼかしてみたかった。頭の中で整えられた文章を「書く」のではなく、自分のなかに眠っている言葉を、身体を通じて「聴く」ようにして表現してみる。そんな時間になったと思います。

テーマは「空と海」。

曖昧で、ひろがりがあって、ちょっとつかみどころがない。だからこそ、それぞれの内側から引き出される言葉には、思いがけない深さや遠さが宿るのではないかと、そう思ったのです。

書道というと、どうしても整った美しい文字をイメージしがちですが、今回は少し違いました。墨の濃さ、筆の速さ、にじみや掠れ。それぞれの動きが、まるで感情の温度をそのまま紙に転写しているかのようで、どの作品にも、そこに至るまでの思索と感受がまっすぐに表れていました。

書道というものが「言葉を美しく整える手段」ではなく、「言葉が生まれる瞬間を支えるプロセス」であるということを、あらためて実感しました。

私たちは日常の中で「言葉を使う」ことにとても慣れてしまっています。でもその手前には、「言葉が立ち上がる」瞬間がある。感情が、記憶が、呼吸の波が、すこしずつ言葉のかたちをなしていく時間。それを、筆と墨がそっと手伝ってくれる。

今後は、さらに「言葉が生まれるプロセス」に焦点をあてたワークも取り入れていけたらと思っています。

詩や古典に触れることはもちろん、個人の体験や、ふとした感情の断片から言葉をすくい取っていくような導入があってもいい。

書という営みの可能性を、もう少し先へと伸ばしてみたいと思います。

#ワークショップ #shodo #calligraphy #書道ワークショップ #workshops #書のある暮らし #アートのある暮らし #空 #海
作曲家・ピアニストの 石垣絢子さん、札響ヴァイオリニスト佐藤さんとの「言葉と音楽」が無事に終演しました。

会場を満たす墨の香りと余韻を味わえたほんの数秒の間に、これから生み出したい表現がどんどん込み上げてきて、感無量でした。

書き上げた三つの作品は、
一つ目、「言葉になる前のもの」。
まだ形にならない、曖昧で、だけど確かにそこにある“何か”の気配。そこに静かに筆に乗せてみた。2つ目の作品と対になる「風、薫、音、聲」の抽象表現。

二つ目、「風、薫、音、聲」。
風が吹く。薫りがする。音が聴こえる。人の声がする。

そして三つ目。
「吹きわたる空のささやき 海のこえ 言葉が僕をノックしている」。
風も、海も、人も、世界そのものが、僕たちに向かってコンコンとノックしている。
おい、そこにいるかい?
ちゃんと聞こえてるかい?
そんなふうに。

僕たちは、言葉を使って生きている。
でも、実は言葉のほうからも、僕たちに向かって歩み寄ってきているんじゃないだろうか。世界が何かを囁きかける。その微かな音に、僕たちはどう応えるのか。そんな想いを、三つの作品に込めました。

そして、プログラムの音楽の核になったボレロ。
ラヴェルのあの有名な旋律が、石垣さんの手によって、まるで別の景色を纏って立ち上がりました。佐藤さんのヴァイオリンが重なり、音楽はその場で呼吸をはじめた。僕は言葉と書で、その波に飛び込んだ。きっと、あの瞬間、僕たちは同じ舟に乗っていたんだと思います。

書と音楽。
それぞれが、決して同じにはならない表現だけど、また一歩前に進んだ時間になったと思います。

そして公開リハーサルから本番にかけて、札幌にいらっしゃる栃木高校やICUの先輩方・卒業生の方がいらしてくださり、感謝です。

#言葉と音楽 #書道 #書道パフォーマンス #札幌 #scartsコート #舞台 #calligraphy #art #japanesecalligraphy #performing_arts #sapporo
札幌での音楽と書の公演「言葉と音楽」。
昨日から会場入りし、舞台設営でした。

こんなに美しく養生シートを貼り合わせてもらったことが未だかつてあっただろうか。まるでギフトラッピングのような精緻さ。舞台設営のプロの技に感動です。

今日と明日のリハーサルは公開の時間帯も設けています。20日の本番に向けていい準備をしたいと思います。

#言葉と音楽 #書道 #書道パフォーマンス #札幌 #scartsコート #舞台 #舞台設営 #calligraphy #art #japanesecalligraphy #performing_arts #sapporo
「啐啄(そったく)」という言葉に出会ったのは、ほんの数日前の打ち合わせの席でした。

その方が大切にしている言葉として口にされたのを聞いて、思わず聞き返してしまった。恥ずかしながら、僕はその言葉を知らなかった。

卵の殻の中の雛が、殻を内側からつつく。それが「啐(そつ)」。同時に、親鳥が外側から殻をつつく。それが「啄(たく)」。この二つがぴたりと合ったその瞬間、雛はこの世界へと生まれ出る。
「啐啄の機」とは、そんな絶妙なタイミングを指す言葉。

ここ数日の出来事が、まさにそれだったんじゃないか、と噛み締めています。

先週は、メンタルヘルスケアと書道をテーマにしたオンラインのパネルディスカッションに参加させていただき、「書く」という行為が人の心や日々の生活にどう結びついているのかを改めて考え、語り合う時間になりました。書くことは、ときには呼吸のように、人に静かな力を与えてくれる。そんなことを強く感じた。

その後、虎ノ門のTHE SHOESHINE AND BARで靴磨きと書道のコラボイベント。「サイン磨き」と題して、参加者の名前のサインを磨き上げる、そんな時間を企画しました。
「30分間、自分の名前を書き続ける」と聞くと、ちょっとした修行のように思えるかもしれません。
でも実際には、皆さん夢中になってご自身の名前を書き続け、気づけばあっという間に時間が過ぎていた。その様子が、なんとも印象的でした。

そして週末には、所属している大学のOBオーケストラの演奏会がありました。
ある世代のメンバーにとっては、数年前、コロナの影響で中止になった演奏会のリベンジとなるプログラムでもあった。そして大切な家族への想いを共にする演奏会でもあった。音楽への想いが交差し、不思議なくらいにあたたかな時間が流れていました。
毎週の練習に鎌倉から三鷹に通うのは、なかなか大変なことではあるけれど、それでも音楽に向き合う時間は、僕にとってかけがえのないものだと、あらためて感じました。

そして先日、作品冊子をお送りした方から、「碧巌録の『卒啄同時』という言の葉も連想しました」と感想をいただいた。

どの企画も、「いつか、こんなことをやってみたい」と、それぞれが心に抱いていた想いが重なってかたちになったものでした。
殻の内側からの「啐」と、外側からの「啄」。それがちょうど重なった瞬間だったのだと思います。

#啐啄の機 #書道 #書 #アート #japanesecalligraphy #calligraphy #art #summerday #zen #アートのある暮らし #夏
作品冊子『余白のなかに』が完成しました。

書き下ろし作品と詩的テキスト、
写真、エッセイを収めた冊子です。

B5サイズ・全50ページ。
日本語・英語。
12作品の書と、それぞれに添えた文章を見開きで構成しています。

言葉になる前の「気配」や、「書くこと=呼吸」という感覚、音と言葉のあいだに立ちのぼる余白——、そんなモチーフを表現した作品をまとめました。

お読みいただく方に静かに、しかし確かに響く何かがあれば嬉しいです。

価格は1冊 税込1,000円(+送料430円)。
レターパックライトにて、最大5冊まで同梱可能です。

ご注文は以下の注文フォームからお申し込みいただくか、メッセージ等でも承ります!
https://forms.gle/oPd44znzpYWBnxGs8

#japanesecalligraphy #calligraphy #art #zen #children #words #書道 #書 #アート #アートのある暮らし
来週7月11日金曜日、書×靴磨きの夜。 来週7月11日金曜日、書×靴磨きの夜。
サイン磨きワークショップはありがたいことに満席。
19時からのトークはまだお席ご用意できますので、美味しいカクテル飲みにいらしてくださいませ。

なんとバーテンダーさんがこの日のために「竹炭カクテル」を考案してくださいました。飲むのが楽しみ!

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【POLISHING THE SIGNS】
ワークショップ&トークショー開催のお知らせ
※以下のURLよりご予約いただけます
https://www.instagram.com/tsb.toranomon/
──────
7/11(金) 16:00〜19:00
【満席御礼】ワークショップ「サインを磨く、整える」
参加費¥2,500(税込)※各回30分/6名限定
書家の小杉 卓とマンツーマンであなただけの「サイン」を創るワークショップを開催いたします。
日常使いのペンを使用し、あなただけの特別なサインを創りましょう!
──────
ライブパフォーマンス&トークショー
19:00〜20:30
小杉 卓 × 長谷川 裕也
参加費¥3,300(税込・1ドリンク付) ※10名限定
トークショーに加え、一夜限りのライブパフォーマンスを披露します!お見逃しなく!

#虎ノ門ヒルズ #theshoeshineandbar #靴磨き #書道 #小杉卓
新しい作品をつくるとき、
まずは机に座って静かにノートをひらく。

筆や硯が置かれた机ではあるけれど、すぐに筆を握るわけではない。

それは例えば、コーヒーを飲むときに、コーヒーを淹れてすぐさまコップを口に運ぶのではなく、その湯気の上がるのを静かにみている時間のように、自分の中に訪れつつある何かを、そっと待つようなものかもしれません。

言葉は、現時点という瞬間的な断面で考えればそれは機能的には記号でしかないかもしれませんが、背景に目を向ければ、それは単なる記号ではありません。

それは、人間が生きてきた時間の堆積です。

そんな文章を書きました。

「境界をなぞるように」
https://ukyo-kosugi.jp/blog/4365/

#japanesecalligraphy #calligraphy #art #spring #zen #studio #kamakura #書道 #書 #アート #アートのある暮らし #音楽のある暮らし #初夏 #アトリエ
週末は、所属しているオーケストラの練習があった。

練習が始まったのは雨上がりの初夏の夕方。6時を少し回った頃。都内の会場に向かう道の途中の道路の脇には、雨の雫をたっぷり吸い込んだツツジがまだいくらか咲いていて、その向こうにはやや霞んだ青空がある。これから練習する曲の雰囲気が合うような気がしなくもない。

冷たい空気で満たされながら、それでいて遠くの方で確かな炎のようなものが燃えている、そんな音楽。

シベリウスの交響曲第2番。
7月のコンサートに向けて、少しずつ練習を重ねている。

オーケストラの中では、必ずしもずっと楽器に口を当てて演奏している時間だけではなく、弦楽器や他の管楽器の響きを聴いている時間も多い。

だけど、この“待つ”という行為が、案外悪くない。むしろ、それが僕にはちょうどいいくらいだと思っている。いろいろと想いを巡らせるのに、ちょうどいい時間かもしれない。

【違うはずなのに、似ている】
音楽と書道というのは、一般的にはほとんど結びつかないもののように思われています。「音楽と書道って、なんだか不思議と似ている気がするんだよね」と言うと、多くの人が少しだけ首をかしげます。

「へえ、そうなんですか」と、言外に“でも全然違うものじゃない?”という響きを残しながら。

まあ、確かに違います。
音楽は聴くもので、書道は観るもの。

ピアノの鍵盤を叩いても墨は飛び出さないし、筆を持っていても音符は出てきません。でも、僕の中ではこの2つは、ずっと前から同じ風景の中に並んで存在していたように思うんです。

ショパンを弾く指先と、古典を臨書する筆先の間には、たしかに共通の空気が流れている。どちらもただ「正しく」なぞるだけでは何かが足りない。

そこには、もう少し微妙で、内側から滲み出るようなものが必要なんです。

そんなふうに、音楽と書道について考えていることを文章にしてみました。

「音楽と書道、静かな対話」
https://ukyo-kosugi.jp/blog/4361/

#japanesecalligraphy #calligraphy #art #spring #zen #studio #kamakura #書道 #書 #アート #アートのある暮らし #音楽のある暮らし #初夏 #アトリエ
「ことばのまえの かぜをきいている このせかいはまだ なをもたない」

こどもの日に書いた作品です。

ことばを話し始める直前の子どもというのは、まるでまだ「世界」と「名前」とがきちんと結びついていない、揺らぎの中に生きている存在のように感じます。生物的といえば、その方が自然な在り方のような気もするけれど、僕たちの世界をつくっていく担い手の一人として、言葉を「まだ」もたない、あるいはいくらでも自由な言葉をこれから習得できる存在として彼を見守りたいと思う。

鳥の声や風の音、光の揺らぎに、意味や名前がついていなくても、それらのすべてを、まるごと身体で受け止めている。そのまなざしを、ささやかにでも残しておきたいとも思う。

この作品に使った墨も、ちょっとだけ特別なものです。

去年、版画作家の先輩が奈良を旅した際、息子の初節句を祝って、兜のかたちをした墨を贈ってくれました。とても美しい墨で、その質感と形に見惚れて、昨年は磨ることはせずにそのまま飾っていました。

でも、今年はいよいよ「書いてみよう」と思いました。こどもの日の5月5日に、静かにその墨を手に取り、硯にあててみました。墨の香りがふわりと立ち上がり、贈ってくれた人の手のぬくもりや、その旅の風景までもが、ゆっくりと広がっていくような気がしました。

ゆっくりと墨を磨りながら、ああ、言葉ってこういうふうにして生まれるのかもしれないな、と思いました。すぐに発せられるのではなく、沈黙のなかで、時をかけて、すこしずつ輪郭を得てゆく。

「ことばのまえの かぜをきいている」

そんな時間を、1歳になった息子はいま生きているのだと思います。そしてそれは、いずれすべてに名前が与えられていく前の、ひときわ豊かで澄んだ時間なのかもしれません。

墨の黒は、まだ言葉にならないものを受け止める色です。この作品に込めたのは、そんな色の豊さと、これから始まる小さな冒険への、ささやかな祈りかもしれません。

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