
作曲家・ピアニストの 石垣絢子さん、札響ヴァイオリニスト佐藤さんとの「言葉と音楽」が無事に終演しました。
会場を満たす墨の香りと余韻を味わえたほんの数秒の間に、これから生み出したい表現がどんどん込み上げてきて、感無量でした。
書き上げた三つの作品は、
まだ形にならない、曖昧で、だけど確かにそこにある“何か”の気配。そこに静かに筆に乗せてみた。2つ目の作品と対になる「風、薫、音、聲」の抽象表現。
二つ目、「風、薫、音、聲」。
風が吹く。薫りがする。音が聴こえる。人の声がする。
そして三つ目。
「吹きわたる空のささやき 海のこえ 言葉が僕をノックしている」。
風も、海も、人も、世界そのものが、僕たちに向かってコンコンとノックしている。
おい、そこにいるかい?
ちゃんと聞こえてるかい?
そんなふうに。
僕たちは、言葉を使って生きている。
でも、実は言葉のほうからも、僕たちに向かって歩み寄ってきているんじゃないだろうか。世界が何かを囁きかける。その微かな音に、僕たちはどう応えるのか。そんな想いを、三つの作品に込めました。
そして、プログラムの音楽の核になったボレロ。
ラヴェルのあの有名な旋律が、石垣さんの手によって、まるで別の景色を纏って立ち上がりました。佐藤さんのヴァイオリンが重なり、音楽はその場で呼吸をはじめた。僕は言葉と書で、その波に飛び込んだ。きっと、あの瞬間、僕たちは同じ舟に乗っていたんだと思います。
書と音楽。それぞれが、決して同じにはならない表現だけど、また一歩前に進んだ時間になったと思います。
そして公開リハーサルから本番にかけて、札幌にいらっしゃる栃木高校やICUの先輩方・卒業生の方がいらしてくださり、感謝です。
小杉 卓