練習スタイルを変えて一年。気付いたこと。
書道の練習というと、同じ文字を何十枚も書くというイメージが強いですよね。
もちろんそういう練習も大切なんですが、個人的には「それだけでいいの?」と疑問を持っているところでもあり、ここ一年は練習スタイルを変えています。
臨書する作家の書風・リズムをより全体的に捉えるために、古典の全文を書き進めていくという練習にしています。
手本にする古典の原本はたいていの場合数百字あるので、毎日20~30枚練習したとしても、同じ箇所を次に書くのは数日後になります。
参考『白氏詩巻(藤原行成)』
この練習を続けて気付いたことは、
◆ 一枚を書く集中力が上がる
◆ 長い目でみたときの自分の変化が測りやすい
ということです。
一枚を書く集中力
まず、同じ箇所を何枚も書かずに、一度書いたらどんどん次に進んでいくため、練習を積み重ねているというよりは、一枚勝負の本番に取り組んでいる感覚の方が強いです。
長い目でみたときの自分の変化
特定の筆遣いや字形については、効果的な箇所を何十枚も練習して身に着けた方が効率が良いでしょう。
ただ、それだと近視眼的になりがちなので、長い目でみたときの自分の変化を測ることが難しい。
同じ箇所を書くのが数日後という練習では、先週よりも、あるいは先月書いたものよりも明らかに「線が違う」ということに気付きます。
自分の“ベース”が上がっている感覚です。
たとえば、
『臨 左繡序(貫名菘翁)』
写真1枚目(左)は今朝書いたもの。
写真2枚目(右)は2週間前に書いたものです。
少し前後していますが「立異議之」の四字は同じ部分の臨書です。
これだけしか上手くならない。でもこれくらいは上手くなる。
書道をやっていると、
「少しうまくなった」と「全然うまくならない」の繰り返しなのですが、その振れ幅が、長い目でみたときの成長になるように練習していきたいと思っています。
小杉 卓
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