調和というのは、「基準」にぴたりと合わせることだけではなくて

「和」

Harmony:調和というのは、
ある「基準」にぴたりと合わせることだけではなくて、
「流れ」に寄り添うことなのかもしれない。

 

音楽がヨコに流れる感じは何なのか。
キチッ、キチッと縦の線を合わせるというよりも、大きな流れにみんなが身をゆだねる中でそれぞれの楽器が奏でる音があって、その流れの中にしっかり観客も入っている。音楽に対する観客の反応、息遣いがしっかりみてとれる。

パリ管弦楽団のコンサートを聴きに行った。
ラヴェル「鏡」
ラヴェル「ピアノ協奏曲」
ラヴェル「クープランの墓」
ファリャ「恋は魔術師」

チケットは10~60€。日本で聴いたらケタが違うな、と思いながら20€の席を購入。フィルハーモニー・ド・パリは2年前にできたばかりのホール。曲線がふんだんに使われていて、客席の構造が左右非対称という面白い空間だった。

老若男女いろんな観客がいて、音楽に反応しながら聴いているのが印象的だった。少しおおげさに表現するならスポーツを観戦しているような空気。楽章間の「ゴホッゴホッ」があまりにも騒がしくてみんなで笑っていたり、「これはだめだ」みたいな表情で拍手しない人がいたり。演奏会で音楽を創るのは奏者だけではないな、ということをあらためて感じた。

この作品も、一画一画の正確さや文章としてのタテの流れではなくて、楽譜が左から右に書かれて音楽が奏でられていくような流れに寄り添った表現を意識した。

背景の楽譜はラヴェルのピアノ協奏曲・第2楽章より。

Taku KOSUGI

タグ: