美しさは、厳しさだと思う。
剱岳は、その山の険しさゆえに日本で最後まで三角点の観測ができなかった場所。
去年の登山では悪天候により山頂へのアタックを断念。
今回は晴天のもと、一年越しの登頂。
明確に残っている剱岳の登頂記録は明治40年、
帝国陸軍測量部によるもので、それ以前の登山記録は口伝のみ。
その口伝は「伝説」とされ、
当時、剱岳に登った者はいないとも言われていたため「初登頂」の期待が大きかった。
しかし、測量部の「初登頂」の際に、
錆び付いた鉄剣と銅の錫杖、そして焚火の跡が山頂で発見される。
鉄剣と錫杖は奈良時代から平安時代の修験者のものと鑑定され、
測量部の登頂は初登頂ではないことが判明することとなった。
この一連の物語は新田次郎の小説「劍岳 点の記」になっていて、映画化されている。
その歴史的物語の興味深さと、厳しさ、そして美しさに触れた2日間だった。