それは十年後の未来かもしれないし、 一滴の涙かもしれない。

それは十年後の未来かもしれないし、
一滴の涙かもしれない。

東日本大震災のときの、
被災地でのオーケストラの活動を追ったドキュメンタリーで、
印象的なシーンがあった。

避難所で音楽を聴いて、
涙を流していた方が「泣いてもいいよと言ってもらえた気がしました」と。

 

夢を後押しするような元気をもたらすこともあれば、
とどまっていた思いを涙にする手助けをすることもあるかもしれない。

 

たぶんそれが、
音楽とか絵とか写真とか映画とか、
芸術の、意義だ。

もちろん、書の意義でもある。

 

書が人を導くことができるとすれば、
それは十年後の未来かもしれないし、
一滴の涙かもしれない。