文化を表現することの大切さ

4年前にその着想を得て、ようやく、ようやく先週末、カタチにできたオーケストラと書道の協奏。

終わった後のことを、あえて想像しなかったんです。そのときに見える景色を楽しみにしておこうと思って。と言えたらかっこいいけど、実のところは準備と練習にいっぱいいっぱいで、そのあとのことを考える余裕なんてなかった。

オーケストラの演奏とともに書道を披露することについて、少々気障な言い方になるけれど、シンプルに文章にするなら「音楽と書道の間にある『線』を乗り越えたい」とか思っていた。でも、本番の舞台でその『線』があると思っていたところに立ってみたら、そこには『線』も何もなかった。そんな気分です。

音楽なのか書道なのか、
クラシック音楽なのか、
そういう「0か100か」的な問題ではなくて、あの「空間と時間」の表現が、私たちの舞台だったんだと思います。その手段が、オーケストラによる『音・音楽』と、墨と和紙による『書・言葉』だったということ。書家とか演奏家とかっていう「肩書き」はそんなに意味がなくて。あえて言葉を探すとしたら「表現者」なのかなと思います。

クラシック音楽と書道、
それぞれに長い歴史と多くのロジックがあります。そんな中で、リスペクトすべき歴史を踏まえつつニュートラルな姿勢で向き合って、文化を表現することの大切さを思う週末でした。

考え方の『フレーム』にあまりとらわれることなく、これからも『想い』と『衝動』に素直に表現に取り組んでいきたい。

聴きに(観に)来てくださった方、一緒に演奏してくださったムジカの皆さま、演奏会をサポートしてくださったスタッフの方々に、心より感謝申し上げます。