クリスマスの夜に思うこと

「聖」

世間は慌ただしく正月モードへ切り替わりつつありますが
もう少しだけクリスマスのお話です。

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「クリスマス休戦」を知っていますか?

今からちょうど100年前、
ときは1914年。

第一次世界大戦。

西部戦線では、
鉄条網を挟んでイギリス、フランス軍とドイツ軍が対峙していました。

1914年12月25日。
この日、ドイツ軍の最前線から「きよしこの夜」の調べが流れたのです。
その歌に呼応するように、対峙していた敵軍も自発的に停戦命令を出し、
昨日まで敵同士戦っていた両軍が、中間地帯の真ん中で顔を合わせました。

その瞬間、
戦場は戦場ではなくなりました。

キャンドルに灯をともし、
彼らは密かに持ち込んだブランデーを分け合い互いの幸運を祈ったのです。
そして発煙筒の灯りでフットボールをしたといいます。

しかし、新年を迎える前に停戦は終わり、
戦闘が再開されました。

その後、戦時中に3回のクリスマスを迎えましたが、
クリスマス休戦が行われることは一切なく、
戦闘は激しさを増していきました。

現場で交流されたら戦意が落ちるということで、
両軍の休戦に合意した兵士たちは、軍の上層部から厳重な注意を受け、
さらには、翌年のクリスマスには砲撃を増強するよう命令されたのです。

「クリスマス休戦」の後、第一次世界大戦はさらに3年も続き、
2千万にのぼる人命を奪いました。

「クリスマス休戦」は軍の上層部の判断で「なかった」ことにされました。
正式な記録には残っていません。

このような、人間の平和への希求も、
心無い権力者たちにとっては不都合な真実。

事実がどうだったのかを知るすべはないけれど、
当時の兵士たちの証言や手紙、写真が多数残されています。

戦いの中にあっても、
「平和な夜を」という思いを失うことのなかった方々を、想います。

『クリスマスは、分かち合うためにある』

戦争とは何なのか。
平和とは何なのか。

静かに考えたい。

海京