「海外」という言葉、海を「壁」だと感じる人も多いのかもしれない。

 

 

「海」

この作品「海」は先日の個展で発表した作品です。

時は19世紀。
浮世絵などの日本文化が、
世界の芸術の中心のひとつであるパリを席巻しました。

ジャポニスムです。

フランスを代表する作曲家ドビュッシーもまた、

ジャポニスムに感化された芸術家です。
彼の代表的な管弦楽曲、交響詩「海」は僕が最も好きな曲の一つでもあります。

この曲の初演は1905年。
出版されたスコアの表紙には葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」が使用されていて、
当時のジャポニスムを象徴するものでもあります。

 

個展の会場で、
実際に作品「海」をご覧になった方からよく質問されたのは
「なぜ3枚のキャンバスに書いたのか」ということ。

実は、ドビュッシーの「海」という曲は
3章構成(「海の夜明けから真昼まで」「波の戯れ」「風と海との対話」)となっていて、
それが、僕が「海」という作品を3枚のキャンバスで書こうとおもった所以なのです。

 

「海」というと、「国内」という言葉の対義語として「海外」という言葉があるように、
海を何らかの「壁」だと感じている人も多いのかもしれない。

でも、ジャポニスムのように文化と文化が海を通して結ばれることで、
文化・芸術の前に「国」という概念は無意味になる。
新しいものが生み出されていく。

万国との「つながり」、世界の舞台、海。

挑んでいきたい。