いつはりのなき世なりせば

フランスには和紙というものがない。

和紙を取り扱っているお店はパリじゅう探せば僅かにあるけれどびっくりするような値段。。。

こちらの素材に取り組むよい機会だとは思っているけれど、やはり日本の和紙が恋しくなる。

4度目のフランスにして先日ようやくモンサンミッシェルを訪れたら、空の様子がまるで雲母和紙のようで、思わず古今和歌集の和歌を合わせてみた。

「いつはりのなきよなりせばいかばかり 人のことのはうれしからまし」(詠人知らず)

直訳すると、

「この世に偽りがなかったとしたら、人の言葉はどれほど嬉しく感じられるだろう」という内容で、きっと恋人の言葉を簡単には信じられずにつらいという恋心なのでしょう。

でもそれ故に、「本当の言葉」の力は大きく、嬉しいものです。